診察時間

午前 9:00~13:00
  (最終受付 12:30)
午後 6:00~ 8:00
  (最終受付  7:30)
休診:水曜・日曜祝日

受付は診療終了の30分前迄です

TATEISHI MEDICAL OFFICE

〒272-0815
千葉県市川市北方2-5-12
TEL 047-334-0077
FAX 047-334-0106

院内感染対策


 たていし内科 院内感染対策業務指針             2022.04作成

1. 院内感染対策に関する基本的な考え方

        院内感染の防止に留意し、感染等発生の際にはその原因の速やかな特定、制圧、終息を図ることは、医療提供施設にとって重要である。

        院内感染対策を全従業員が把握し、指針に則った医療が提供できるよう、本指針を作成するものである。

        院内感染管理者である院長を中心に、職員の協力の下、感染症対策を実践する。

2. 院内感染管理体制

(1) 院内感染管理者の業務内容

  ① 職員と協力の下、診療等における感染防止に係る取り組みが実施されるよう管理を行う。

  ② 最新のエビデンスに基づき、当院の実情に合わせた標準予防策、感染経路別予防策、職業感染予防策、疾患別感染対策、洗浄・消毒・

        滅菌、抗菌薬適正使用等の内容をも盛り込んだ手順書を作成し、必要に応じて適宜更新する。

  ③ 職員を対象として、少なくても年2回程度、定期的に院内感染対策に関する研修を行う。

  ④ 少なくても年2回程度、感染対策向上加算1に係り届出を行った医療機関又は地域の医師会が定期的に主催する

        院内感染対策に関するカンファレンスに参加する。

  ⑤ 1週間に1回程度、定期的に院内を巡回し、院内感染事例の把握を行うとともに、院内感染防止対策の実施状況の把握・指導を行う。

(2)下記に掲げる者を診断したときは「感染症の予防及び感染症患者に対する医療に関する法律」により、

          7日以内に保健所長を通じて都道府県知事へ届出る

 ① 一類感染症の患者、二類感染症又は三類感染症の患者又は無症状病原体保有者及び新感染症にかかっていると疑われる者

 ② 四類感染症のうち、後天性免疫不全症候群、梅毒、マラリアその他厚労省で定める患者。

   (後天性免疫不全症候群、梅毒その他厚労省で定める感染症の無症状病原体保有者を含む)

3. 職員研修

(1)院内感染防止対策の基本的考え方及びマニュアルについて職員に周知徹底を図ることを目的に実施する。

(2)職員研修は、就業時の初回研修のほか、年2回全職員を対象に開催する(外部研修でも可)また、必要に応じて随時開催する。

(3)研修の開催結果又は外部研修の参加実績を記録・保存する。

4.院内感染発生時の対応

 (1)異常発生時は、その状況及び患者への対応等を院長に報告する。

 (2)院長は、速やかに発生の原因を究明し、改善策を立案し、実施するために全職員への周知徹底を図る。

5.院内感染対策マニュアル

  別紙、院内感染対策マニュアルに沿って、手洗いの徹底など感染対策に常に努める。

6.患者への情報提供と説明

(1)本指針は、患者又はその家族が閲覧できるようにする。

(2)疾病の説明とともに、感染防止の基本についても説明して、理解を得た上で、協力を求める。

 

 ていし内科 院内感染対策マニュアル    2022.04作成

1.       手指衛生

   手指衛生は、感染対策の基本であるのでこれを遵守する。

1-1       患者の出入り口には、手指消毒用のアルコール製剤を設置し、患者に対し手指衛生の協力を促す。 

1-2       職員の手指衛生は、手指消毒用アルコール製剤による擦式消毒、もしくはハンドソープと流水による手洗いを基本とし、

    これをおこなう。手拭きタオルはペーパータオルを使用する。

1-3       個々の患者のケア前後にハンドソープと流水による手洗いか、手指消毒用アルコール製剤による擦式消毒を行う。

1-4       使い捨て手袋を着用してケアをする場合の前後も、ハンドソープと流水による手洗いかアルコール製剤による擦式消毒を行う。

1-5       目に見える汚れが付着している場合は必ずハンドソープと流水による手洗いを行う。そうでない場合は擦式消毒でもよい。

1-6       アルコールに耐性のある微生物に考慮して、適宜ハンドソープと流水による手洗いを追加する。

1-7       手荒れ防止に関する配慮を行う。

2.  医療器具・器材の洗浄、消毒、滅菌

2-1 滅菌物の保管は床面から30cm以上を保持した場所とし、汚染がおこらないよう注意する。汚染が認められた時は

    破棄あるいは再滅菌する。使用の安全保存期間(有効期限)を厳守する。

2-2 滅菌再生器材において、洗浄前消毒薬処理は、洗浄の障害になるので行わない。

3.医薬品の微生物汚染防止

3-1 血液製剤や脂肪乳剤の分割使用はしない。

3-2 原則として、生理食塩水や5%ブドウ糖液などの注射剤の分割使用は行わない。

    やむを得ず、分割使用する場合は、共用は避けて、冷所保存で24時間以内の使用にとどめ廃棄する。

3-3 混注後の輸液の作り置きは、室温保存で6時間以内とする。

4.   微生物汚染経路遮断

 血液、体液などには直接触れないように作業することが原則である。 

4-1 血液、体液に触れる可能性の高い作業を行う時には、使い捨て(ディスポーザブル)手袋を着用する。

4-2 汚染した手袋でベッド、ドアノブなどに触れないよう注意する。

4-3 ディスポーザブル手袋は再使用せず、患者(処置)ごとの交換をする。

       やむを得ず繰り返し使用する場合には、そのつどのアルコール清拭をする。

4-4 血液、体液・分泌物・排泄物・あるいはそれらによる汚染物などの感染性物質による接触汚染または飛沫汚染を

    受ける可能性のある場合には、手袋、ガウン、マスク、フェイスシールドなどの個人防護具(PPE)を着用する。

4-5 呼吸器症状のある患者には、咳による飛沫汚染を防止するために、サージカルマスクの着用を要請して、

       汚染の拡散を防止する。

4-6 糞便や吐物で汚染があった場合は、消化管感染も考慮し汚染箇所の消毒を行う。

4-7 床面等に嘔吐した場合は、手袋、マスクを着用して、重ねたティッシュや不織布ガーゼで拭き取り、

    ビニール袋やプラスチックバッグに密閉し感染廃棄物として廃棄する。

    汚染箇所の消毒は、次亜塩素酸ナトリウム液を用い、平滑な表面であれば1,000ppmを、

    カーペット等は5,000ppmを用いて10分間接触させる。

4-8 病原体拡散を避けるため、汚染箇所に一般用掃除機は使用しない。

5.   環境浄化

     患者環境は常に清潔に維持する。

5-1 待合室、診察室、検査室等の患者環境は清潔の維持に配慮する。

5-2 スペースを有効活用して、清潔と不潔の区別に心がける。

5-3 流しなどの水場の排水口および湿潤部位などは必ず汚染しているものと考え、水の跳ね返りによる汚染に留意する。

5-4 床面から30cm以内に、清潔な器材を保管しない。

5-5 薬剤/医療器材の長期保存を避ける工夫をする。特に滅菌物の保管については注意を払う。

5-6 頻繁に手が触れる部位は、1日1回以上、清拭を行う。その際、アルコール製剤か次亜塩素酸ナトリウム液を用いる。

5-7 共用するリネン類(ベッドカバー、バスタオルなど)は週に1回以上交換する。

   汚染があった場合は、500~1,000ppm次亜塩素酸ナトリウム液に30分浸漬処理後、洗濯、あるいは外注洗濯とする。

         注)血液の付着したリネン類は、基本的に血液を洗い落としてから次亜塩素酸ナトリウム消毒が望ましいが

                汚染の拡散に留意する。汚染範囲が広いなど、安全に洗い落とせないと判断した場合は廃棄処理とする。

5-8 床(水平面)は1日1回清拭を、壁やカーテン(垂直面)は汚染が明らかな場合に清拭または洗濯する。

5-9 汚物置き場などの湿潤箇所は、日常的な衛生管理に配慮する。

5-10 清掃業務を委託している業者に対して、感染対策に関連する重要な基本知識に関する、

    清掃員の教育・訓練歴などを確認し、必要に応じて教育、訓練を行う。(業務責任者に再教育を要請する)

6.  患者の技術的隔離

感染患者の技術的隔離により他の患者を病原体から保護する。

6-1 風邪症状(発熱、頭痛、関節痛、咽頭痛、鼻汁、嘔吐、下痢)、味覚・臭覚異常の一つでも有する患者は、

    発熱外来での診療対象者として、事前に電話で症状やその他必要事項を問診したうえトリアージを行う。

    滞在時間短縮を図るために 完全予約制での診療とする。  

6-2 発熱外来患者の動線は、一般外来の患者と交差しないように、院内の出入り口、待合室、診察室、検査、会計を分離する。

6-3 一般外来に発熱外来対象者が直接来院した場合は、速やかに院外へ出るように誘導し、

    院外から予約の電話をするように伝える。

    当該患者が手で触れた部位を消毒液(アルコール製剤か次亜塩素酸ナトリウム液)で清拭する。

6-4 空気感染、飛沫感染する感染症が疑われる場合は、患者にサージカルマスクを着用してもらう。

6-5 空気感染、飛沫感染する感染症で、隔離の必要がある場合には、

    移送関係者への感染防止(N95微粒子用マスク着用など)を実施して、適切な施設に紹介移送する。

6-6 接触感染する感染症で、入院を必要とする場合には、感染局所を安全な方法で被覆して適切な施設に紹介移送する。

7.  消毒薬適正使用

   消毒薬は、一定の抗菌スペクトラムを有するものであり、適用対象と対象微生物を十分に考慮して適正に使用する。

7-1 生体消毒薬と環境消毒薬は、区別して使用する。ただし、アルコールは両者に適応される。

7-2 生体消毒薬は、皮膚損傷、組織毒性などに留意して適用を考慮する。

7-3 塩素製剤などを環境に適用する場合は、その副作用に注意し、濃度の高いものを広範囲に使用しない。

7-4 高水準消毒薬(グルタラール、過酢酸、フタラノールなど)は、環境の消毒には使用しない。

7-5 環境の汚染除去(清浄化)の基本は清掃であり、環境消毒を必要な場合には、清拭消毒法により汚染箇所に対して行う。

8.  抗菌薬適正使用

抗菌薬は、不適正に用いると、耐性株を生み出したり、耐性株を選択残存させる危険があるので、

対象微生物を考慮し、投与期間は可能な限り短くする。

8-1 対象微生物と、対象臓器の組織内濃度を考慮して適正量を投与する。

8-2 細菌培養等の検査結果を得る前でも、必要な場合は、経験的治療empiric therapyを行わなければならない。      

8-3特別な例を除いて、1つの抗菌薬を長期間連続使用することは厳に慎まなければならない。(数日程度が限界の目安)

8-4 抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬、カルバペネム系抗菌薬などの使用を把握しておく。

8-5 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、MRSA、多剤耐性緑膿菌(MDRP)など特定の多剤耐性菌を保菌していても、

    無症状の症例に対しては、抗菌薬の投与による除菌は行わない。

8-6 地域における薬剤感受性サーベイランス(地域支援ネットワーク、厚労省JANISサーベイランス、医師会報告)の

    結果を参照する。

9.  付加的対策

   感染症の症状を有する患者は発熱外来で診療を行う。発熱外来の診察室及び待合室は患者が滞在している時、

   適切な処理を施す前の検体を扱っている時等は、強制換気を行い、陰圧を保持する。

   また、滞在する患者の人数制限を行い、患者同士の間隔は基本的に1m以上離し、全員マスク着用とする。

   疾患及び病態等に応じて感染経路別予防策(空気予防策、飛沫予防策、接触予防策)を追加して実施する。

   次の感染経路を考慮した感染対策を採用する。

  なお、新型コロナウィルス感染症については、「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)診療の手引き」等も

  参考に院内感染対策を行う。

9-1 空気感染(粒径5μm以下の粒子に付着。長時間、遠くまで浮遊する)

a. 麻疹

b. 水痘(播種性帯状疱疹を含む)

c. 結核

d. 重症急性呼吸症候群(SARS)、高病原性鳥インフルエンザ等のインフルエンザ、

  ノロウィルス感染症等も状況によっては空気中を介しての感染の可能性あり。

9-2 飛沫感染(粒径5μmより大きい粒子に付着。比較的速やかに落下する。)

  a. 侵襲性B型インフルエンザ菌感染症(髄膜炎、肺炎、喉頭炎、敗血症を含む)

b. 侵襲性髄膜炎菌感染症(髄膜炎、肺炎、敗血症を含む)

c. 重症細菌性呼吸器感染症

  ① ジフテリア(喉頭)

  ② マイコプラズマ肺炎

  ③ 百日咳

  ④ 肺ペスト

  ⑤ 溶連菌性咽頭炎、肺炎、猩紅熱(乳幼児における)
d. ウィルス感染症(下記のウィルスによって惹起される疾患)

  ① アデノウィルス

  ② インフルエンザウィルス

  ③ ムンプス(流行性耳下腺炎)ウィルス

  ④ パルボウィルスB19

  ⑤ 風疹ウィルス

e. 新興感染症

    ① 重症急性呼吸器症候群(SARS

    ② 高病原性鳥インフルエンザ

f. その他

9-3 接触感染

a.  感染症法に基づく特定微生物の胃腸管、呼吸器、皮膚、創部の感染症あるいは定着状態(以下重複あり)

b.  条件によっては環境で長期生存する菌(MRSAClostridioides difficileAcinetbacter baumanniiVREMDRPなど)

c.  小児におけるRSウィルス、パラインフルエンザウィルス、ノロウィルス、その他腸管感染症ウィルスなど

d.  接触感染性の強い、あるいは、乾燥皮膚に起こりうる皮膚感染症

     ① ジフテリア(皮膚)

     ② 単純ヘルペスウィルス感染症(新生児あるいは粘膜皮膚感染)

        ③膿痂疹

     ④ 封じ込まれていない(適切に被覆されていない)大きな膿瘍、蜂窩織炎、褥瘡

     ⑤ 虱寄生症

     ⑥ 疥癬

     ⑦ 乳幼児におけるブドウ球菌

       ⑧ 帯状疱疹(播種性あるいは免疫不全患者の)

    ⑨ 市井感染型パントン・バレンタイン・ロイコシジン陽性(PVL+MRSA感染症

 e.  流行性角結膜炎

 f.  ウィルス性出血熱(エボラ、ラッサ、マールブルグ、クリミア・コンゴ出血熱:

    これらの疾患は、最近、飛沫感染の可能性があるとされている。)

10.  地域支援 

必要に応じて、専門家を擁するしかるべき組織に相談し、支援を求める。

11.  予防接種

 予防接種が可能な感染症に対しては、接種率を高めることが最大の制御策である。

11-1 ワクチン接種よって感染が予防できる疾患(新型コロナウィルス感染症、B型肝炎、麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎、

     インフルエンザ等)については、適切にワクチン接種を行う。

11-2 患者/医療従事者共に接種率を高める工夫をする。

12.  職業感染防止

 医療職員の医療関連感染対策について十分に配慮する。

12-1 針刺し防止のため、原則として リキャップをしない。

12-2 リキャップが必要な際は、安全な方法を採用する。

12-3 試験管などの採血用容器その他を手に持ったまま、使用済みの針付き注射器を操作しない。

12-4 廃棄専用容器を対象別に分けて配置する。

12-5 耐貫通性専用廃棄缶(容器)は八分目に達した際に容器を交換し蓋をして密閉する。

12-6 使用済みの針付き注射器、その他、鋭利な器具専用の安全廃棄容器を配置する。

12-7 安全装置付き器材を導入する。

12-8 前項11に記載したごとく、ワクチン接種によって職業感染予防が可能な疾患に対しては、

         医療従事者が当該ワクチンを接種する体制を確立する。

12-9 感染経路予防策に即した個人防護具(PPE)を着用する。

12-10 結核などの空気予防策が必要な患者に接する場合には、N95以上の微粒子用マスクを着用する。

13.患者への情報提供と説明

患者本人及び患者家族に対して、適切なインフォームドコンセントを行う。

13-1 疾病の説明とともに、感染防止の基本についても説明して、理解を得たうえで、協力を求める。

13-2 必要に応じて感染率などの情報を公開する。

14.  感染症発生時の対応

14-1 個々の感染症例は専門医に相談しつつ治療する。

14-2 感染症の治療に際しては、周辺への感染の拡大を防止しつつ、適切に実施する。

14-3 アウトブレイク(集団発生)あるいは異常発生が考えられるときは、地域保健所と連携を密にして対応する。

15.  特殊な感染症の相談体制の確立

A234-2感染症対策向上加算1の届出医療機関や市川市医師会とコンタクトをとり相談できる体制を整える。